あの流れ星に
たったひとつの
願いをかける

ここにあるのは優しい光




流れ星






KIRBY STORY  〜流れ星〜 信じる!




「僕は、いろんな人に出会ったし、いろんな事件に出会った。
 その時、いつも僕は皆に、とっても大切な事を教えてもらえるんだ。」
カービィが立ちあがったことに、ゼロはいくらか警戒を示しています。
「ゼロ、君は『信じる』ことは自分が弱いことをごまかす為にあるって言ったよね?」
カービィはいつになく真剣な眼差しでゼロを見据えます。
「たしかにね、僕達って弱いんだよ。ゼロ。……だから…。」
ゼロはカービィの言葉を不思議な心持で聞き取ります。
「…だから、皆に助けてもらうんだ。」

「助けられてしか…生きれぬ種族が愚かだと…私は言っている!」
ゼロの周りの紋章リングは、再び青い輝きを発しました。
「そんなこと無いさ!ずっと、ずっと一人でいるなんて、そんな悲しい事ないよ!」
「いや…カービィ、違うぞ。他人の力を借りることは自分の『無力』を周りに示していることだ!
 愚かな者がすることなのだ!」
カービィはゼロの声に声を張り上げます。
「じゃあ、愚かな種族だって、構わないよ!…でも、弱くて愚かな種族だとしても……。
 『信じる』ことは一番、尊いものだっていうこと!それは絶対に言える!!!!」
「愚か者めがぁぁっ!」
カービィの言葉が終わった瞬間、ゼロの前方に巨大な赤い弾が現れました。
「えぇい!貴様に何を話しても無駄の様だな!死ね!カービィ!」
赤い巨星は放たれます。カービィは不意をつかれ、避ける暇もありませんでした。
――その時、カービィをオレンジ色のフィールドが包みました。
「馬鹿なっ!?」
ゼロの攻撃は全て吸い込まれてしまいました。そして、カービィの横にもう一人……。
「どうやら間に合ったみたいなのサ!カービィちゃん!」
「マルク!?無事だったんだね!」
マルクは傷を負いながらも、ウィザードを倒していました。

「オイ、ゼロとかいうやつ!僕達は愚かな種族なんかじゃ無いのサ!」
マルクはゼロの方へ怒鳴ります。
「何ぃ…?そんなにも弱い貴様等がか?」
赤い目はマルクへ視線を向けます。
「僕等は、君には無いものをたくさん持っているのサ!」
「私に…無いものだと…?」
マルクはカービィの肩を羽でポンと叩きます。
「さぁ、教えてあげよう!カービィちゃん!」
カービィはこくりと頷くと、虹のつるぎをゼロに向けました。

「この虹のつるぎは、皆が教えてくれた大切なことの一つなんだ。ゼロ。」
カービィはゼロに突撃します。
「虹が架からなくなった時に、虹のしずくを集めて手に入れたのがこの剣で、
 虹を取り戻すっていう、皆の願いが込められているんだ。」
「そう…僕がナイトメアウィザードに本当に思って欲しかった物なのサ!」
カービィが全力で剣を振り下ろした時、カービィとマルクの声が重なりました。

「それが―希望と…夢!」

先程とはくらべものにならない程の威力で、ゼロを引き裂きます。
「な…っ!?馬鹿な!?こんな力が!?」
虹の光がゼロを包み、その場に動けない状態にします。
その時、また聞きなれた声が聞こえてきました。
「カー君!」 「カービィさん!」
アドレーヌとフォウスが、こちらに走ってきました。
カービィは一瞬、二人を見て微笑むと、またゼロに向き直りました。

「…まだ大切なことは、あるよ。ゼロ。」
カービィは今度は先にハートがついた杖を取り出しました。
「これは、君を倒す為に皆が僕にくれたハートスターの結晶なんだ。覚えているだろう?」
カービィは先程の光に囚われているゼロに向けてステッキを一振りします。
「皆が僕にくれたハートスターって、皆の心に持ってた、あったかいものだったんだよ。
 それが、僕が教えてもらった、大切なこと。」
アドとフォウスも語ります。
「人って、それがあったからこそずっと、ずうっと、今まで居れたんじゃないかなぁ?
 きっとそれが無かったら、人だけじゃ無くてどんな生き物だって居れなかったと思うの。」
「僕は、記憶が無いところをメタナイトさん達に拾われたんだけど。やっぱり、
 それも皆の中にある、それだと思うんだよね。」
カービィがステッキを大振りで一振りした時、カービィとアドとフォウスの声が重なりました。

「それが―優しさと…愛!」

カービィのスッテキから放ったハート型の弾は、ゼロの体を一直線に貫きます。
「な……なんだとぉ!?この力!?何だと…何だというのだ!?」
眩い光に黒い空間とゼロの体が崩れていきます。
「馬鹿な!カービィ!希望など…愛など…戯言に過ぎないのだぞっ!虚無の存在に……
 等しいのだぞっ!」
ゼロの叫び声が響きます。

「ゼロ!まだあるよ!」
カービィは今度はクリスタルの銃の様なものを取り出します。
「これは、リボンちゃん達の星の力を使った、リボンちゃん達との繋がりなんだよ。
 君が壊そうとしていたものを、守る為に…皆頑張っていたんだ。」
――そして、ゼロに向けて、狙いを合わせました。
「何かを守る時に、皆で力を合わせることって、とっても素晴らしいことなんだよ。
 それも、僕が教えてもらった、大切なこと!」
そして、もう一人の声が響きます。
「俺も、力の意味が分からなかった!――だが、仲間に出会って、アルゴルに出会って、
 今、剣を振る意味がやっと分かった!俺は、そのことの為に剣を振ると!」
そして、カービィとやってきたメタナイトの声が重なりました。

「それが―絆と…守るべきものを!守る力!」

「馬鹿な!馬鹿な!馬鹿なぁっ!この私の力が、そんな下らんものに……!」
クリスタルの弾丸がゼロに突き刺さり、光を発しました。
「下らんものに…負けるというのかぁーっ!!!!」

びしいっ!
ゼロの体全体に、ひびが入ります。
カービィは、最後に自分の拳を見つめました。
「ゼロ!最後にもう一つ!あるよ!」
カービィは今、自分の後にいる仲間達を一人一人見回しました。
マルクが最初に語りました。
「僕はカービィちゃん達に会って、本当に良かったと思うのサ。
 自分の道を真っ直ぐに見つめることができたのサ。
 きっとここにいる皆に会わなきゃ、僕は寂しく独り、道を外れていったと思うのサ。」
次にアドレーヌ。
「私は、中途半端な理由でここまで来たけれど、今までのカー君達を見てて、
 あなた達のしていることを見てて、私なりの理由が見つかったわ。
 私は皆の気持ちに背くようなこと、絶対したくないからね!」
そしてフォウス。
「僕だって…皆と出会わなければ…きっと今も暗い洞窟の星に。
 記憶を無くしたことに囚われて、ずっと進めなかったと思うんですよ…ね。
 もっと大きなこと、しなきゃいけないって。教えられたんです。」
そしてメタナイト。
「俺も…仲間がいなければ、周りがいなければきっと、今ここに居ることはできなかった。
 孤独で、狭くて、ちっぽけな者でしか無かったと思う…。」
 ――お前もそうだろう…?アルゴル…。

 そして最後、カービィは自分の両手を見て、言います。
「マルク、アドちゃん、フォウスくん、メタナイト、ここにはいないけどアックスさんや
 メイスさん、トライデントさんやジャベリンさん、ワドルディ…そしてサー君。
 でもこれだけじゃない。もっともっとたくさんの人がきっと僕を見守ってくれている…。
 そして僕に、いろんな事を語ってくれる……。」
両手の拳をぎゅっと握り、カービィはゼロへゆっくりと迫ります。
「それで、皆が言うんだ。一番大切なこと!」
「馬鹿な!カービィ!貴様等など…ちっぽけな力に…愚かな者に過ぎないのだぞ!
 貴様等に…何ができる!何が…力になる!?」
ゼロに向けて、カービィは拳を振り上げました。

「全ての大切なことに繋がること!それが、『信じる』ってことなんだよ!ゼロ!」

「希望を信じること!」

「愛を信じること!」

「絆を信じること!」


「僕は―っ!信じるっ!!!!」

「愚か者…愚か者がぁぁーっ!」

カービィの放った拳は輝き、光と共に闇は粉々に割れていきました。



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★用語解説★

ハートがついた杖・・・カービィ3より。その名前、ラブラブステッキ。
           ラブラブな感じでラブラブな攻撃を放てる。なんとも素晴らしい武器。
           さあ、君も今からラブラブだ!(嫌です。)
クリスタルの銃・・・カービィ64より。クリスタルの弾が撃てる。
          これでゼロツーを倒した。四連発可能。並の敵なら一発で粉砕!
          バトル●ワイヤルもこれで楽勝!(止めましょう。)

★第二十三幕のあとがきっ★
書いてて一番楽しかった。仲間一人一人が自分の思いを叫んでくれた。(叫ばせたのは自分だけど)
これでひとまず、めでたしめでたし♪……なのかねぇ…?(ニヤリ)





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