あの流れ星に
たったひとつの
願いをかける

ここにあるのは優しい光




流れ星






KIRBY STORY  〜流れ星〜 悪夢と悪魔




宇宙戦艦アポカリプスは黒い雲の外膜の様な場所に着陸しました。
ここは黒い雲の第三層とでも呼べばいいでしょう。守りは手薄です。
「…メタナイツはここの敵の撲滅に専念してくれないか?」
意外なメタナイトの言葉にメタナイツは顔を見合わせます。
「何故ですか!私達もメタナイト様をお守りします!」
「そうダス!それがワシ等の使命のハズダス!」
「メタナイト様、俺達も連れてって下さいよ!」
「…………頼みます。」
「メタナイト達頑張ってねー。」
一気に反論がおきます。それをメタナイトは「黙れ」と静めました。
「外から敵がやってきたら俺達も倒しきれない。お前等が倒してくれれば中の敵に専念できる。」
メタナイトが言うと何も返せない重みを持っています。
「でも………。」
アックスはまだ納得がいかないという表情をしています。
「メタナイツ…。命令だ…。」
メタナイツ達は頷き、それぞれ戦いに向かいました。

第二層までの道で、フォウスはメタナイトに話し掛けます。
「外の敵は弱いって判断したんでしょう?」
「………何故だ?」
「アックスさん達に怪我をさせたくないんでしょう?」
「………お前は何もかも見透かしている様に話すな。」
「分かりやすいんですよ♪」
それきり二人共黙り込んでしまいました。先を急ぐことに集中です。

「えっ?何で敵が襲ってこないの!?」
アドは驚きます。何かの作戦かなぁと考えますが、不自然です。
第二層に敵はたくさんいるものの、一匹として向かってこないのです。
こちらから攻撃してみても、石の様に黙ったままなのです。
「命令をうけたな……。」
メタナイトが呟きます。
「どういうことなのサ?」
マルクはそれに尋ねます。
「幹部クラスの…命令だろうな。『絶対に攻撃するな』と。」
「なんでだろ?」
メタナイトは話に入ってきたカービィに教えます。
「きっと…誰か俺達に恨みを持っている。『自分の手で殺す』ってとこだろうな。」
カービィの表情もいつになく険しくなります。
「シルトって奴かな?」
「さぁ…それは分からない。ただ、俺はそれだけじゃ無い様な気がするがな…。」

突然、黒い雲の中に光が差します。全員立ち止まりました。
「おでましか……。」
黒いマントに身をつつみ、大きな角を持つ細い顔にサングラスをかけています。
人間ではありませんでした。悪魔と呼べばしっくりきますが、正式ではありません。
「カービィ、夢の泉以来ダナ…覚えてイルカ?お前に倒サレたナイトメアウィザードだよ。」
悪魔ではなくて『悪夢』が正しいのです。
「君…っ!なんでまた…!」
「聞きタイコトはタクサンあるダロウ…。ダガ……。」
悪夢はマントを翻します。
「ワタシはお前ヲ倒スノガ、待ちきレナイのだよッ!」
そのままカービィ目掛けて襲い掛かろうとします。ですが、カービィの前方で何かに当たりました。

「あぁもう…僕はネ、君みたいのが一番嫌いなのサ!」
それはマルクでした。
「何ダお前ハ…?邪魔をスルノか?」
「人の邪魔をスルのは大好きなのサ。」
「消すゾ…退ケ。」
「君なんかに命令されたくないのサ。」
ウィザードはカッと目を見開きます。
「邪魔者ハ消し去ルっ!」
マルクの場所に星型の弾を投げつけます。刹那、大爆発が起こりました。
「僕はねェ…。」
マルクにはそれは当たっていませんでした。マルクの背中から悪魔の様な羽が生えています。
「君が嫌いなんだッテ!」
金色の光が悪夢のマントを狙います。マルクの魔法、ヴィーナス・ライトです。
「っ!オトナシクやられてイレバいいモノをっ!」
間一髪避けたウィザードを更に何百という針が襲います。サターン・ニードルです。
ウィザードは飾りとしてある柱に固定されます。
「今なのサ!こんな奴に復讐なんかさせてやらナイ!カービィちゃん達逃げるのサ!」
カービィ達はその言葉を聞くと奥へ駆け出していきました。
「オノレ…貴様!消し去ッテくれる!」
「できるならやってみればいいのサ。」
マルクはフンと鼻で笑いました。

奥に少し進むと、また光につつまれました。
「あーらら。ナイトメアさん復讐できなかったのかな?」
聞き覚えのある声で、四人は同時に相手の名前を判断しました。
「シルト!」
「覚えててくれましたかぁ。どうも。」
シルトは不敵な笑い方をします。そしてゆっくりと歩き出しました。
「さて…私と戦うのかな?先に進むにはそれしかないからね。
 何人でくる?勇敢に一人か?二人か?それとも全員でくるのか?」
カービィは身構えます。その時、
「僕がいきましょう。」
声の主はフォウスでした。
「ふーん…君は青龍の…。覚えているよぉ。」
「貴方は危険です…。」
「そりゃあどうも…ね。」
二人共が身構えている時に、もう一人、
「私も戦うよ。」
アドが参加願いを出しました。
「おやおや…二人ですか…。まっ、どうでもいいですけど。」
アドはキャンバスと絵の具を取り出しながらカービィとメタナイトに言います。
「ここは大丈夫!カー君とメタナイトさんは先に行って!」
二人は同時に頷くと、更に奥へと駆け出していきました。
「アドさんありがとう。助かるよ。」
「負けられないわね。」
シルトに向かう二人は簡単な言葉を交わします。
「さて…私が『大地と影の悪魔』と呼ばれる所以…君達に教えてあげましょうか?」
シルトはまたニヤリと不敵な笑みを浮かべていました。



NEXT STORY・・・信じるべき夢なら



★用語解説★

命令だ・・・メタナイトの判断。メタナイツを大事に思うが故、外に残らせた。
ナイトメア・ウィザード・・・『悪夢』の正体。蒼い星。夢の泉の物語で登場。
              夢の泉を乗っ取り、人々の夢を奪った張本人。怖い人。
              星影の小説では、なんかナイーブな人っぽくも見える。
ヴィーナス・ライト・・・太陽魔術の一つ、金色の光で敵を討つ!
            光の速さは凄まじい!でも威力はそうでもない。ありゃ。
サターン・ニードル・・・太陽魔術の一つ、土の針を生み出し、敵に向けて放て!
            ちくちくしてるからなんか痛い。動きを止める効果もある。
大地と影の悪魔・・・シルトの別称。なんかかっこいい感じ。

★第十七幕のあとがきっ★
オールシリアスモードに突入。戦局が分かれる状態。
マルク対ウィザード、フォウス・アド対シルト。そして奥へ進む二人を待ち受けるもの。
戦いの中でそれぞれに大切なことが分かってくるのだ。





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