第4話 闇



 ああ、
 この思いよ
 全て焼き尽くしてまえ
 嵐となれ
 薙ぎ倒せ
 壊せ
 壊せ
 殺せ
 殺してくれ
 死ね
 死ね死ね死ね
 死んでまえ
 もう何も要らない
 だから死ね
 憎い
 この怒りよ
 全てを呪え
 灰に成れ
 呪う
 呪ってやる
 あああ、死ね

 死にたい










































































 私は

 また

 この世界へやってきたのか

 ……ああ

 何も、見えない

 何も、聞こえ、ない

 痛くも、ない

 何も、ない

 ……なんと、正しいのか

 この世界は

 ……よかった……

 やっと……

 死ねる









 ……ウィ…ズ……

 …………

 ……ウィズ……?

 ……ああ…

 ウィズ

 私は

 私は、間違っていたのだろうか?

 あの時、

 生きようと願わなければ

 お前が二度も死んだりしなかったのか?

 私は

 お前を

 忘れたく、な、い

 ……無謀か

 ここはあまりにも

 正しすぎて

 私は

 消えてしまう

 ……ウィズ

 お前は

 なぁ、お前は

 幸せだったか…?








 私は……

 もう……

 疲れた……

 ……私には、もう、

 憎しみと怒りしか残っていない

 お前とは共になれない

 お前は神を信じていたな

 私は

 いつのまにか

 罵倒することさえ

 神を憎むことさえ

 忘れていたよ









 ああ

 らくになりたい

 ああ

 なんて

 にくい

 この世よ

 私を未だ、ここに縛り付ける

 憎い、憎い憎い憎い

 罵倒も足りぬ、奪うことも足りぬ

 憎い憎い憎い

 ……クソ

 死にたい

 死にたくない

 クソめが

 復讐を

 果た や  憎

  死 あ

 足 ない

 まだ

 死ぬわ に

 死

 ああ、 ああああ

 しぬわけには












































































「なぁ、おどれ、生きたいんか?」



 それは男の声だった。
 視界がぼやけ、生死もわからない。
 しかし確かに、こう言った。

 復讐を、果たすまで。

 男はふぅんと、納得したように言い、
「おーっしゃ。おどれの願い、このミラクルマター様が叶えちゃる。
じゃが、代わりにワシの部下になってもらうけー、その辺よろしゅーな!」

 瞬間、意識は完全に、闇に落下した。
 闇に引きずり込まれた、とでも言うか。
 何でもいい。
 これが罠ならば、今度こそ支配は受けない。
 怒りと憎しみだけで生きてやる。
 だから今は、その闇に甘んじる。
 闇が肉体と溶け合う感覚。
 そこで、最後の夢を見た。


































































 ―――僕は、ずっとここにいるよ。

 ―――あなたが失った全ての幸せを、取り戻すまで。

 ―――だから、

 ―――あなたの傍に置かせてね。

 ―――かたちだけでも

 ―――あなたが憶えていてくれているなら。

 ―――もう一度、ウィズって呼んでもらえるだけで、僕は、幸せだから。





































































 神様を忘れた日。
 それは、お前が死んだ日。
 やっと思い出したよ。
 ウィズ。
 お前のことを、やっと、思い出したよ。