第4話 闇の中の戦乱



 マルクの足下から風が吹いています。身体は宙に浮き、黒いもやが立ちこめています。
「星流弾!!」
 マルクの付近から生まれた黒い弾は、まっすぐカービィに向かってきました。
「うわぁ!!」
 その早さは半端じゃありません。
 そしてカービィは、同時にいくつもの弾が発射されていたことに気付いていませんでした。
「…!!」
 今度はカービィに当たります。
 一発一発の強さはヘビーロブスターの攻撃などとは比較にもなりません。
「……かはっ…!!」
「どうしたの?まだ始まったばかりじゃないか。」
「……う……っ」
 カービィの身体にとてつもない痛みが走ります。
「あーあ。つまんないの。
結局、生粋の星の戦士といえど、こんなものか。」
 マルクの身体に計り知れないくらいの力が集まります。
 傷ついたカービィでも、それが理解できました。
「まあ、弱くとも、将来有望な星の戦士だからね。
将来有望……つまり、邪魔者ってこと♪」
「……!!!」
「この宇宙から消してあげるよ。永遠にね。
星波動!!!」
 銀色と黒の閃光が放たれ、カービィに向かっていきます。
 もう絶対に、避け切れません。
 そのことは、カービィにも分かっていました。

 ジュアアアアァァァ!!!!

 メックアイ全体に、爆発音がこだましました。

 白い煙が晴れてきます。
「終わったな……
…!?」
 煙の向こうに、カービィではない、別の人物が立っていました。
 青い、半透明のシールドを張っています。
「………あれ?」
 カービィが目を開けました。
「生きてる……?
………カイ!!」
 そこにいたのは、一人のシミラ族の男でした。
「………カイ……!!
何でお前がここに……!!」
「ダークマター!!」
 マルクの身体が少し震えました。
 しかしその瞳の中の闇は少しも揺るぎません。
「いい加減、マルクの身体から離れろ!!」
「ダ、ダークマター?じゃあまさか!!」
「ふん。今頃気がついたか!星の戦士!!
どちらにしろお前らには死んでもらう。哀れだなカイ!!自分の弟子、星の戦士の代理に殺されようとはな!!」
 カイは黙っています。
「えっ……星の戦士の代理って……?」
 カイがやっと口を開きました。
「………誰からの命令だ?」
「…冥土の土産に教えてやる。ルビィ様だ。」
「………何のためだ?」
「知らないね。それにお前らはどうせこれから死ぬんだ。聞く必要もあるまい。」
「………それもそうだな………」

 ターーン!!

 カイはカービィを抱き上げ、一気に建物の上まで跳びます。
「悪いな。私にはまだ、死ぬ前にやるべき事があるからな。」
 そう言い、カイとカービィは姿を消しました。
「まてカ………!!」
 ダークマターの頭の中を、痛みが貫きました。
「畜生……こんな時に……!!」
 ダークマターはあえぎました。
「マ………マルクめ………」



 僕の思考が、少しずつ戻ってきた。
 どこの記憶だろう?
 ここは……グレープガーデン。
 僕の通っていた学校、ポップスター学園だ。